真夜中、久し振りに訪れた友達のサイトの日記に紹介されていたページがあった。
何やら泣き顔の顏文字にリンクされているのだ。
最初「何だろう?何か悲しい事でもあったんだろうか」と思ってクリックしてみたら、何やら他所のサイト様の管理人様が飼ってらした愛猫の話らしい。
ちょっと、読んでみる事にした。
黒猫物語 -18年間ともに過ごした猫-知らない方いらっしゃったら、是非読んでみてください。
実家にも以前、猫エイズでこの世を去った猫がいた。(2005/01/26の記事「あの子」参照)
去勢してからと云うもの、食べてはぶくぶくに太って家では偉そうにボス気取り、自分でお腹の毛繕いが出来ないくらいに身体に肉が付いていた。
その猫の調子がおかしいと、食欲がなくて水も飲まなくて、慌てて獣医へと車を走らせた。
検査の結果、獣医の口から返されたのは「猫エイズです。…助からない」との言葉。
治せる薬がないんだそうだ。
本で「あまりのショックで頭の中が真っ白になる」とか「衝撃が走る」とか聞くけど、本当なんだなぁって。
正直逃げたかったですよ其処から。アテなんか何処にもないけど。
あんなに元気だったのにな。…どこでそんな病気貰って来たのさ…って、思った。
診察が終って料金支払うまで、「泣くな、ここじゃ泣いちゃ駄目だ」って自分に言い聞かせて、呼ばれるまで無理矢理他の事考えてた。
車の助手席にキャリーに入った猫乗せて、自分は運転席に乗り込んで。
我慢出来なくて、其処から発進する前にハンドルに突っ伏すようにして泣いたの、…未だはっきりと覚えてる。
やっぱり獣医で注射を打たれると少し体調が良くなるみたいで、帰ってから皆の前で少し元気な様子を見せてたけど…だけどやっぱり食欲はなくて、これから暫く獣医に行って点滴してもらうことになった。
通院はいつまで続いたんだっけかな。
何かそんな事全然考えてもいなかった。…当時、こうやって日記を付けていた訳でもないし。
だけど明らかに痩せ細って行くんですよ。
「ほら、獣医さん行くよー」って抱き上げたら、凄く軽くて悲しくなった。
健康な時は10キロ近くあったのに、あんなにぶくぶく太ってたのに、…って。指に伝わるんですよ、皮越しに、肋の感触が。
何だか、ぎゅって少し強く抱締めたら壊れてしまいそうな気がした。
口を開けても、もう声が出なくて…もう、ボロボロだったんだろうな、あの時。
当時ワタシは、相棒とアパートを借りて別の場所に住んでいた。
その猫の事があまりにも心配で、真夜中に車を出して実家まで走って、様子を見に行った事もあった。
感染する病気だったから、実家の一つの部屋に隔離していて…その部屋には毛布を敷いて、小さなソファも置いて。だけど、あの子は部屋の隅に、寒い場所へと移動してしまう。
眠る姿を見ていたけれど、物凄く息が荒くて上手く呼吸が出来てないみたいだった。
獣医に連れて行くのはワタシの役目だった。
こうやって一緒に居た時間が一番長かったのは、ワタシだった。
窓がたくさんあって、日中は日が思いきり差し込む暖かい部屋だったけど、夜中は逆に物凄く寒くて、いっちゃんの体温を奪うその部屋が物凄く憎く感じた。
家族達が「いっちゃんを一階の部屋に移そう。皆と一緒にいさせてやろう」って言い出したのは、それから少ししてからの事。
「もう、私らがいっちゃんにしてやれる事は、このくらいしかないから…」と、寂し気に母が言った。
そうしていっちゃんは一階の仏間、居間と隣り合わせになっている部屋へと移された。
他の子にも感染してしまうかも…と、思ってはいたのだろうが、あの部屋で一人きりにされているいっちゃんを思ってか、誰もその事には触れなかった。
その頃のいっちゃんはもう、自分で自分の身体を動かす事は出来なくなっていた。
いわゆる「寝たきり状態」。
床擦れを起こさないようにと、母が時折気を使って身体を動かしてやっていた…横を向く事もせず、いっちゃんが見ていたのは居間のある方向。ずっと、皆のいる居間を見ていた。
大きめなゲージに柔らかな布を敷いて、そこに、いっちゃんを寝かせていた。
そして仕事に行く父を見送り、銀行に行くと言う母を車に乗せ、家に誰も居なかった時間。
忘れもしない2/13、ちょうど、母の誕生日にお前は逝った。
運転している最中に、左腕に変な感覚。…ギアを引く手に重みがのしかかる。
…自分の死を知らせに来たのか。
家に帰って慌てて様子を見に行けば、既に息を引き取った後。
そして少しでも皆と一緒に居たかったのか、ゲージから少しだけ出ていたいっちゃんの身体…、お前、全然動けなかったのに。
そしてゲージの奥を覗いて見たら、いっちゃんにとても良く懐いていたアオ(茶トラ)が、いっちゃんの左腕の上に乗っていた。
運転中に感じた変な感覚はコレ(アオ)の所為だったんだろうか…。
そこで何食わぬ顔で毛繕いをしていたところを母に引き降ろされ、しぶしぶと避けるアオを見つつ、そして、薄らと眼を開けたままで、もう動かないいっちゃんを見つつ…。
2/13の午後。…もう、はっきりした時間は覚えていない。
涙をぽろぽろ零しながら、いっちゃんの頭を撫でる母。
お疲れ様って、良く頑張ったねって、それしか言葉が出て来なかった。
病気のいっちゃんがいた部屋は、暫く唾液とかの異臭を放ってたけど、それも今はすっかりなくなった。
いっちゃんはあの時何歳だったかな、10を過ぎてたのは覚えてるんだけど…今思えば、とても懐かしい。